子どものよくある症状
繰り返す発熱
小児科における救急外来で一番多い症状が発熱です。
お子様が高熱を出した場合、親御さんは非常に心配になりますが、小児科では発熱の原因を速やかに特定してご家族の不安を解消しております。
お子様の発熱がどのような発熱ならば心配がないのかを、理解しておくことが重要です。
小児の発熱で注意が必要な場合とは
- 生後3カ月未満の乳児(乳児早期)
- 40℃以上の高熱
- 発熱が5日以上続いている
- 基礎疾患がある場合(免疫不全・心疾患など)
- 脱水症状・呼吸困難・貧血・けいれん・強い腹痛・意識障害が伴う
- 元気がない・所見がないのにぐったり・特異的な症状
など
下痢
小さいお子様の下痢は様々な原因で発症します。下痢のほとんどがウイルス感染などの感染症によります。
稀に、細菌感染のケースもありますが、下痢が生じたらなるべく早めに医療機関を受診してください。
問診では、年齢や食事内容・家族の発症有無・海外渡航歴・抗生物質使用などについて丁寧に伺い、適切に診断を行います。
治療は、食事療法を中心にしながらしっかりと水分補給を行います。
特に、脱水症状が見られる・血便が伴う・全身状態が不安定・強い腹痛・ウトウトするなど、下痢が2週間以上長く続く場合は要注意です。
嘔吐
小さいお子様にみられる嘔吐症状は、その原因が年齢によって異なるとされています。
新生児期からの初期嘔吐をはじめ、乳児期には食道や胃の未発達・過食・便秘・咳き込む・泣き叫ぶ・腹部圧迫・胃腸炎・上気道炎・空気をたくさん飲み込むなどが原因で嘔吐します。
また、幼児期以降になると、咳・神経質・習慣性嘔吐・胃腸炎・便秘・アセトン血性嘔吐症に伴って症状が見られます。注意が必要な嘔吐も年齢によって異なりますが、腸重積・髄膜炎・脳炎・急性虫垂炎・外傷・ヘルニア嵌頓に伴う急な頻回な嘔吐・顔色不良・不機嫌・全身状態が悪いなどの場合です。
便秘
離乳期や幼児期に便秘を発症するお子様が多くいます。
腸内に大量の便が溜まって、それが長く続くと排便反応が低下してさらに悪化していきます。
小児の便秘症は、この悪循環に陥る前に治療を開始することが重要です。
また、太くて硬い便を排泄することで肛門に裂傷を起こします。
裂傷や排便の痛みに対する恐怖で、次第に排便を我慢するようになってしまい、便秘状態が悪化していきます。
当院では、小児便秘症においてなるべく早期に治療を開始することを心がけております。
お子様の様子を見ていただき、便秘気味で排便を嫌がったり、肛門からの出血や痛みがあったりする場合は、早めに当院までご相談ください。
腹痛
お子様がお腹の痛みを訴えている場合は、様々な病気が疑われます。痛みの種類によって異なります。
軽度であれば便秘・ウイルス性腸炎が考えられ、重度であれば急性虫垂炎(盲腸)・腸重積症・アレルギー性紫斑病などが挙げられます。
便秘が原因で腹痛を起こしている場合は、浣腸を行うこともあります。
さらに、激痛や強いお腹の張りがある場合は、手術治療が必要な疾患であることもあるため、お子様が腹痛を訴える・血便がある・嘔吐や下痢症状がある・顔色が真っ青などの症状が見られる場合は、速やかに当院を受診してください。
苦しそうに呼吸をしている
お子様が息苦しさや呼吸困難を訴えている場合は、喘息の発作が多く見られます。
症状に応じて吸入や点滴治療などが必要になります。ただし、喘息傾向や既往がないにも関わらず突然呼吸困難が見られる場合は、異物誤嚥の可能性が考えられます。
この場合は速やかに救急処置が必要なため、医療機関へ即時連絡をしてください。
けいれん
お子様に多く見られるけいれんは、急な高熱による熱性けいれんです。
熱性けいれんが起きた場合は、慌てずに様子を見てください。
口に物を挟んだりせず、嘔吐などで気管に嘔吐物が詰まることのないように、身体を横向きにするなど対応してあげてください。
通常、熱性けいれんは問題ありませんが、痙攣が10分以上も続く場合や、身体の左右の動きに差がある場合、発熱していないのに痙攣発作を起こした場合は、速やかに救急車を呼ぶか、即時医療機関へ連絡してください。
発疹が出た
発疹の種類によっては、人に感染させてしまうことがあるため、受診前に医療機関にまずは電話をして症状を伝えてください。
皮膚の症状は、医師が直接観察しないと診断しにくいため、なるべく医療機関を受診してください。発疹がある場合は、院内感染を防ぐために別室でお待ちいただくことがあります。
また、原則的に入浴は避けてください。
ただし、汗疹の場合は入浴しても問題ありません。
便に血が混じる
血便は、便が柔らかい時に少量の粘液と一緒に血が混じっていることはあるため、お子様の機嫌がよく、いつもと変わらない様子であればしばらく見守ってみましょう。
この症状が何日も続く場合は注意が必要です。特に、機嫌が悪く、激しく泣いたり嘔吐を伴ったりする血便は腸重積などの可能性があります。
なるべく早めに当院までご相談ください。
鼻血
お子様の鼻血が出た場合は、鼻を心臓よりも高い位置にするために座らせてください。
鼻には、棒状にした綿包帯などを入れて5分間ほど左右をつまみながらお待ちください。
鼻に詰めた綿包帯をそっと放しても出血が止まっていれば問題ありません。
この時、鼻の奥に流れた鼻血は飲み込まずに口から出してください。
ただし、鼻血がなかなか止まらない場合や繰り返し出血する場合は、何らかの疾患が疑われます。
異常な鼻血が見られる時は、早めに当院を受診してください。
元気がない・食欲がない
お子様が多少食べる量が減ったり、哺乳量が減ったりしても特別心配する必要はありません。
機嫌がよく、いつもと同じように遊んでいる場合は、そのまま様子を見てください。
ただし、明らかにぐったりとして元気がない様子や、表情や顔色がおかしい場合は、速やかに医療機関を受診してください。
ミルクを吐く
小さいお子様や赤ちゃんは、理由もなく吐くことがよくあります。
吐いてもいつもと同じように機嫌が良ければそのまま様子を見てください。
ミルクを度々吐いても、順調に体重が増えていれば心配いりません。
ただし、吐いた後に顔色が悪く明らかにぐったりしている様子の場合は、速やかに医療機関を受診してください。
夜泣き
夜泣きは、生後3~4カ月頃の赤ちゃんに見られ始め、1歳6カ月頃を過ぎるとほとんどしなくなります。
夜泣きの原因として考えられるのは、暑い・寒い・お腹が空いた・喉が乾いた・お尻が気持ち悪い・興奮・不安などが挙げられます。赤ちゃんの夜泣きの多くは、特にこれといった原因がつかめない時が多く、赤ちゃんを優しく抱いたり、背中をさすったりして安心できるようにしてあげてください。
泣く原因をすべて取り除いてもまだ泣くような時は、赤ちゃんを無理に寝かせようとせず、一緒に過ごしながら様子を見てみましょう。
泣き止まない
夜になって泣き出して、なかなか泣き止まないときは以下のことをしてみてください。
- おむつを変えてあげる。
- 肌着を変えたり、服を着替えたりする。
- 抱っこしてあげる
- 散歩に出て外の空気を吸ってみる
赤ちゃんの気分が変わってそのまま寝付くことが多く見られます。
時には、車に乗ってドライブをすると、心地よく眠ってくれることがあります。
ただし、赤ちゃんが15分ほどの間隔で激しく泣いたり、ぐったりと元気がない様子の場合は、速やかに医療機関を受診してください。
鼻水が出る
鼻水の症状だけで、そのほかの症状がない場合はあまり心配はいりません。
少し様子を見ても大丈夫です。
ただし、黄色や緑色の鼻水が出る場合は、副鼻腔炎や細菌に感染しているなどが考えられます。
この場合、鼻水の症状が悪化する前に、なるべく早めに当院までご相談ください。
ゼーゼーとした咳
ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴がある場合や咳がある場合は、気管支喘息が疑われます。
喘息傾向ではないのに、急に咳き込んで、呼吸が苦しそうな場合は、異物誤嚥の可能性が考えられるため、早めに医療機関を受診してください。
長引く咳
気道内に異物や分泌物が侵入した場合、それを排除しようとする身体の防御反応として咳が出ます。
お子様の気道は大人と比較して非常に細いため、気道が閉塞しないようにちょっとした炎症や異物に対して、咳で出そうとします。
そのため、風邪を引いた時、風邪が治った後でも、喀痰や気道の炎症に敏感に反応するため咳が長引きます。
長引く咳がある場合は、発熱の有無や痰の有無、その他の症状、咳の出やすい時間帯などによって原因疾患を特定することができます。
受診の際には、日頃の咳の様子を伝えられるようにメモしておくことをお勧めします。また、咳が長引くと体力を消耗します。だいたい2週間以上長く続く場合は、一度当院までご相談ください。
頭を打った
お子様が頭を打った場合は、慌てずにしばらく様子を見てください。
頭を打った後も、いつもと変わらず元気に機嫌良く遊んでいる様子であれば心配の必要はありません。
頭を打った直後は、そのショックからぼーっとしていたりしますが、時間が経てば機嫌よくなることがほとんどです。
しかし、頭を打った後に次第に顔色が悪くなったり、機嫌が悪くなったりする場合は、速やかに医療機関を受診してください。この場合、目安として1時間後には機嫌が良くなっているならば大丈夫です。しかし、しばらく24時間は気を付けて様子を見ていてください。
頭痛
お子様の頭痛は診断も難しく、発熱や疲労が原因で自律神経の乱れによって起こる頭痛がよくあります。
発熱がなくて頭痛がある場合は、解熱鎮痛剤を使ってみてください。
また、鼻水や鼻づまり・前頭部に痛みを訴える場合は、副鼻腔炎が疑われます。
さらに、毎日頭痛を訴える場合は、医療機関を受診してください。子どもの片頭痛もあるため、気になる頭痛がある場合は、一度当院までご相談ください。
耳が痛い
お子様の耳が痛い場合は、中耳炎や外耳炎・咽頭炎・おたふくかぜなどが疑われます。
夜中に耳が痛む場合は、まずは解熱鎮痛剤を使用して様子を見てください。
受診は翌日でかまいません。
特に、中耳炎の場合は抗生剤内服で改善します。
中耳炎が疑われる場合は、早めに当院までご相談ください。