小児循環器内科
赤ちゃんから成人まであらゆる年齢層の先天性心疾患(生まれつきの心臓病)の方と、小児期に発症した心臓病のある方を診療しております。小児期に発症する心臓病には、心筋炎・心筋症・不整脈・川崎病心血管後遺症などがあります。
また、心疾患手術後のお子様の外来診療で経過観察も行っております。乳幼児健診で心雑音を指摘されたお子様や、動悸や胸痛など不整脈が疑われるお子様の診療・ご相談も行っております。
なお、入院加療や手術が必要な場合は連携する高次医療機関をご紹介し、病診連携によって速やかに対応しております。
先天性心疾患
生まれつきの心疾患を先天性心疾患と言いますが、実際に乳児の100人に1人の割合で発症する頻度が非常に高い疾患とされています。
先天性心疾患には、数多くの種類があります。4つあるはずの心臓の部屋が通常よりも少なかったり、心臓の左右を隔てる壁に穴があったり、弁が狭くて血液が滞ってしまったりと様々な症状の心疾患があります。
これらの心疾患における検査や診断・治療は患者さんそれぞれで異なるため、1人ひとりに応じて診療及び治療を行っております。
心雑音
心雑音には、心臓に構造的な異常がないのに雑音が聞こえる機能性心雑音と、何らかの異常による病的心雑音の2つに分類されます。
機能性か病的かは、聴診によって区別できますが、稀に判断が難しい場合があります。
この場合、必要に応じて心臓超音波やその他の検査を行って原因を特定します。小さいお子様の場合、保育園や学校の定期健診などで心臓に雑音があると指摘されることがあります。
当院では、心雑音の不安を軽減できるよう、丁寧に検査と診療を行っております。
気になる症状がある場合や、健診などで指摘を受けた場合は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
川崎病
川崎病は、乳幼児に発症する疾患で年間1,5000人以上と年々増加傾向にあります。
入院加療によって、ほとんどのお子様は後遺症を残すことなく病状が改善します。
治療後しばらくは、定期的に超音波や心電図検査などで経過を確認する必要があります。また、一部において冠動脈の拡張や冠動脈瘤などの心疾患を併発することがあります。
この場合は、内服薬治療を行いながら定期的な画像検査が必要となります。
不整脈
主に、乳幼児健診やワクチン接種時の聴診・小学校や中学校などの入学時健診などで発見されることが多いとされています。
その他では、心臓に何らかの穴や構造的な異常が見られますが、ほとんどの小さいお子様は自覚症状がありません。
そのため、ご家族にとっては突然の診断となりますが、まずは診察や心電図検査を行いますので、初めて指摘された場合は慌てずに、一度当院までご相談ください。
当院の検査について
当院では、心電図・ホルター心電図・レントゲン・心臓超音波検査など、診断装置を用いて丁寧に検査を行っております。
心電図検査 ホルター心電図検査 |
心電図は、心臓の構造や働きの異常を見つける検査で、心臓内の電気の流れを眼で確認することができます。主に、不整脈の診断や心臓の異常のスクリーニング・心臓の負荷の確認に用いられます。 小さいお子様もホルター心電図検査を行うことが可能です。お子様の動悸や胸痛の症状はずっと現れているわけではないため、生活しながら24時間記録することで検査が可能です。 この検査で、不整脈や心電図異常などの頻度を把握できます。さらに、自覚症状や行動・心電図変化などがどのように関与しているのかを調べます。 |
---|---|
胸部レントゲン | 胸部レントゲンでは、心臓の大きさや形を確認できます。心臓の形や大きさに異常が見られる場合は、心臓疾患や負担がかかっていることがあります。 また、気胸など肺の状態を確認できるため、胸痛のある患者さんの検査にも用いられます。 |
心臓超音波検査 | 超音波によって心臓の動きや大きさ・血管や血液の流れ・弁の状態などを検査します。先天性心疾患や心臓機能、心臓手術後の評価などを行います。 小さいお子様が心雑音を指摘された場合も、心臓病診断のために用いられます。検査自体は痛くありませんが、小さいお子様は怖くて泣いてしまうことがあるため、お昼寝のタイミングや複数回に分けてお子様に合わせた検査を行います。 |
血液検査 | 血液検査を行い、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)を測定します。心臓病の治療経過観察や、心臓負荷の指標として行われます。小さいお子様に頻脈や動悸がある場合に、甲状腺機能亢進症が見つかったり、心雑音がある患者さんに貧血が見つかったりします。この場合に血液検査を行います。 |
小児循環器内科
予防する感染症
シナジスはRSウイルスに対する特異的抗体で、RSウイルスが体内で増殖することを防ぐことにより、RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制します。
投与時期と投与回数
RSウイルス感染による呼吸器感染症の重症化を抑えるお薬です。
RSウイルス感染症が流行する季節に、月1回の筋肉内注射を継続して行います。
(投与開始月と投与回数(概ね7-8回)は、その年のRSウイルスの流行状況やお住まいの地域によって異なります。)
投与の対象者(保険適応)
- 在胎期間(出産時の妊娠週数)が28週以下で、12か月齢以下の乳幼児
- 在胎期間が29週〜35週で、6か月齢以下の乳児
- 過去6か月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けたことがある、24か月齢以下の乳幼児
- 24か月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の乳幼児
- 24か月齢以下の免疫不全を伴う乳幼児
- 24か月齢以下のダウン症候群の乳幼児
注射の開始時期や投与回数は、生まれ月や疾患により異なります。
スケジュールを立てる時のポイント
注射の効果は約1か間持続します。
RSウイルス感染症の流行期中は効果を継続させるため、1か月ごとの注射を守るようにしましょう。
1回目の注射は流行開始前に受けると効果的です。
副作用について
注射部位の腫れ、痛みや発熱、神経過敏などがまれにみられますが、多くは軽度です。その他に、発疹、肝機能異常、おなかの調子が悪くなったり、咳や鼻水等の呼吸器症状が出たりすることがあります。
同時投与について
RSウイルス感染症予防注射はお薬でありワクチンではありません。ワクチンと同時に投与することができます。
また、ワクチンの接種間隔との関連はありませんので予防接種スケジュールを変更する必要はありません。
当院でのご予約方法
- 初回は、WEB予約で「一般外来」をご受診ください。初診時に必ず紹介状をご持参ください。(初診日当日のシナジス接種は行えません。)
- 初回「一般外来」ご受診の際に、医師がお子さまの体重と適応疾患を確認し、数日後~一週間後のシナジス外来をクリニックで予約致します。
- シナジス注射の記録書類をお渡し致します。
- シナジスを受けられる際は、母子手帳とシナジス注射の記録書類を必ずご持参ください。