自分が病気になった時のことをお話しします。
私は医学生の頃、咽頭にできものができる病気になりました。腫瘍がのどにできていたのです。
ある日、歯磨きをしてのどを見たら、そこに大きな腫瘍があることを発見しました。
自分が通っていた大学の耳鼻咽喉科を受診し、取り除く手術をすることになりました。
いつからできていたのか、悪いものなのか・・・不安に襲われました。 幸い、出血はないな。
医学生は、知識はありますが臨床経験がないため、考えることが偏ってしまいます。バランスよく考えることができません。
夏休みに、全身麻酔での手術で、腫瘍はきれいに取り除いて頂きました。その後、良性のものであることが分かりました。4人部屋に入院し、何日か過ごしましたが、様々な音に敏感になっていた記憶があります。歯磨きの音、食べている時の音、その他生活音。ひとつひとつが気になり、気に病んでいました。術後、勝手に出歩いてトイレに行きました。まだ歩いてはいけない頃でした。当時の病棟看護師さん、どうも申し訳ありません。
今ではすっかり良くなり、当時のことも忘れ去っています。あるいは、自己防衛のために、辛かった経験は脳内から忘れ去られたのでしょうか。
今、そのことを忘れて普通の日常がおくれていることに、感謝したいです。
ある日、大事な人がある病気になった、という報告を受けました。とても信頼できる方です。心がかき乱されました。
何故、という想い、自分だったら、という想い、自分に何ができるのか、という想い・・・
将来のこと、家族のこと、色々な思いが巡りました。
私にできることは?
何もない、と思いました。
何もできない、と思いました。
その中で、ひとりの人として、
祈る
気持ちを込める
そのようなことしかできないと思いました。
皆様の健康を祈っております。
木村岳人